両手を膝につき、深々と頭を下げて懇願する。


「どうか、これだけはお心に留め置いて下さい。あなたのお命はあなただけのものではございません。お命を危険に晒されるような軽率な行いだけはどうぞお控え下さい」


 いつもは頭ごなしに小言を言う和成が、平身低頭している姿に紗也は呆気にとられた。


「どうしちゃったの?」


 和成はさらに頭を下げて、叫ぶように言い募る。


「お願いします!」


 大きな声に驚いて、ざわついていた司令所内が一瞬にして静まりかえった。
 兵士たちが和成と紗也に注目する。
 視線に耐えきれず、紗也はなだめるように和成の肩を叩いた。