尋ねられた者は端末を操作し、敵陣に散っている斥候の現状況や情報の送信履歴を確認した。


「はい……。特に変わった情報は何も……。あれ?」
「どうした?」


 彼が画面に顔を近づけて送信履歴をぐるぐると何度も確認し始める。
 それを見て隊長が横から覗き込んだ。

 彼はひとしきり画面を眺めた後、隊長に告げる。


「ひとりだけ、一度も情報を送信していない者がおります」
「何?」


 隊長が驚いて再び画面に視線を戻した。


「敵の手に落ちたんでしょうか?」


 二人のやりとりを聞いて和成が問いかけると、兵士は悩ましげに首を傾げ、言葉を濁す。


「……いや……。彼の現状況から見てそれはないと思うんですが……」