実のところ紗也は、和成が電話を部屋に置いたまま出かけている事も、右近と会っている事も知っていた。
電話をかけても通じないので自分の電話がおかしいのかと塔矢や女官長にかけてもらい、それでも通じないので塔矢に調べてもらったのだ。
和成が城内から姿を消して行方がわからないというので、ちょっとした騒ぎになっていたらしい。
結局、和成の交友関係の狭さが幸いし、すぐに行方が判明したため大騒ぎにはならなかった。
泣きそうな顔の紗也が和成を睨んで言う。
「心配したんだからね。また、さらわれたり怪我したりしてるんじゃないかって」
「申し訳ありません」
和成はもう一度頭を下げた。
「今後はこんな事がないように気をつけてよ」
「はい。肝に銘じておきます。今日はもう遅いので、この埋め合わせは明日にでも改めていたします」



