和成がため息と共に店内に入ると、店主が気付き以前と変わらぬ笑顔で二人に近付いて来た。


「いらっしゃい、和成さん。また、ずいぶんと久しぶりですよね」

「ご主人、表の貼り紙ははがした方がいいですよ。怪しい人が来るかもしれませんし」


 和成がそう言うと、店主は笑顔を崩すことなくサラリと言ってのける。


「あぁ、二、三人来ましたよ。陰気そうな他国の奴が」
「えぇ?! 大丈夫でしたか?! 危ない目に遭いませんでしたか?!」


 慌てて問いかける和成に、店主は事も無げに言う。


「注文もしないで立ち話だけしようとするような奴は適当にあしらってやりましたよ。あんたの事を聞こうとしてたから、なんなら呼んでやろうかって言ったらケツまくって逃げて行きました」

「はぁ……」