和成に勧められた椅子に座り、紗也は珍しそうに部屋の中を見回す。
 兵士たちは再び自分の仕事に戻っていった。

 ざわつく部屋の中は言葉が飛び交い、電算機を操作するカタカタという音が鳴り響く。
 右手の壁際にある大きな液晶画面には、表示された地図の上に青い大小の円が散在していた。
 昨日会議室で目にした戦略図と同じだ。

 そこへ次々に大小の赤い円と数字が表示されていく。

 紗也には何もかもが物珍しく、そしてなんだか分からなかった。

 和成は紗也の横に立ち、真剣な表情で画面を見つめている。
 少し離れたところから、兵士のひとりが大声で叫んだ。


「敵将情報来ました! 総大将、五十嵐久蔵です! その他、反映します!」


 画面にひときわ大きな赤い円が現れた。
 そして画面上の赤い円の横にバラバラと敵将の名前が表示されていく。
 それを見ながら和成がつぶやいた。