看護師は和成を寝かせ、点滴を元に戻して部屋を出て行く。
 それを見届けて塔矢は寝台の側まで歩み寄り、静かに微笑んで和成を見下ろした。

 和成が不安げな表情で口を開きかけた時、塔矢はそれを遮るように答えた。


「紗也様はご無事だ。おまえが寝てる間に足の捻挫も完治なさった」
「どうして……」


 安堵と困惑のないまぜになった表情で、和成は塔矢を見上げる。


「覚えてないのか? おまえ、今までに何度か目を開けたんだが、その度に紗也様の安否を聞いたんだ」


 それを聞いた和成は、納得して安心したように、ひとつため息を漏らした。


「私はどれくらい眠っていたんでしょうか」
「丸五日だな。今日から雪祭りだ」
「今日初日ですか? 紗也様をご案内する約束が……」