「生きる事を諦めるな」 初陣の時に聞いた塔矢の言葉が聞こえた。 (諦めてませんけど、身体が言う事を聞かないんです) 狭くなってきた視界の端で、斬りかかってくる兵の姿を捉える。 とっさに直撃は避けたものの、右上腕部に激痛が走った。 最早、ほとんど見えない目で気配だけを頼りに兵を斬る。 残りは何人? 数えるどころか姿もろくに見えない。 一面の銀世界のように白濁した視界の真ん中で、真っ赤な椿がゆっくりと花を落とす様が見えた。 (おわりか……) 椿の花に重なるように、笑顔の紗也が見える。