『ひとまず安心した。すぐに城までお送りしたいところだが、里志が一人になるのはまずい。一旦、合流地点の砦までお連れしろ』
「わかりました」
和成は電話を切ると、塔矢の言葉を里志と紗也に伝える。
里志を先頭に紗也を間に挟んで和成が続き、再び崖沿いの道を歩き始めた。
しばらく歩くと道沿いの藪を指差して紗也が振り返った。
「あの赤いの何?」
指差す先に視線を向けると、そこには雪をかぶった赤い花が咲いている。
「あぁ、椿の花ですよ」
「へぇ。こんな雪の中で咲く花もあるのね。冬は殺風景だから城の庭に植えたらどうかな?」
笑顔で提案する紗也に、和成は苦笑した。



