月下の誓約



 男が立ち上がろうとして腰を浮かせた途端、三人の女の子が和成を指差して悲鳴のような歓声を上げた。
 和成は思わず目を閉じて顔を背ける。
 三人の女の子は口々に和成に問いかけた。


「さっき笑いましたよね」
「和成様、笑いましたよね」
「笑いましたよね」


 和成は片手で顔を覆うと大きくため息をつく。
 まさか城外で出会うとは思ってもみなかった。


「城の女官の方ですか?」


 和成の問いかけなど彼女たちの耳には届いていない。
 すでに誰が一番だったかでもめている。

 和成が女官たちに気を取られている隙を突いて、男が席を立って逃げ出した。


「逃がすな、右近!」
「おう!」


 右近が立ち上がって男の進路を塞ぐ。
 男は立ち止まって後ろを振り返った。
 すぐに駆け寄った和成が男の腕をとらえる。