月下の誓約



 二人で席に着くと、右近が不思議そうに尋ねる。


「なんで、おまえの名前知ってんだ?」
「前に来た時、身分証明書見せたじゃないか。それと今朝の記事だろ」


 和成は見た目が未成年に見えるので、飲食店で酒を注文すると十中八九、年齢確認のため身分証明書の提示を求められる。
 夜に繁華街をうろついているだけで警察に職務質問を受ける事もよくある。
 それが面倒で不愉快なので出不精の引きこもりになったのかもしれない。

 店主の奢りの酒と注文した料理が机に並び、乾杯すると右近が和成に問いかけた。


「で? その後どう? 告ったんだろ?」
「けど、ふられたんだよ」
「ふられた?」


 右近が意外そうに目を見開く。


「気に入られてるように見えたけどな。好きじゃないって言われたのか?」
「好きだって言われてる。何度も」


 酒を飲みながら淡々と答える和成を、右近は呆れたように見つめた。