月下の誓約



 和成が振りほどくと、右近は再びすがりつく。


「いや~ん。イケズ」
「気持ち悪いから、いい加減やめろよ」


 そう言うと、右近は和成から離れて問いかけた。


「で、どこ行く?」
「前に慎平と三人で行ったとこ」


 二人は居酒屋に向かって歩き出す。

 店の前まで来ると、入り口前で突然和成が立ち止まった。


「何やってんだ? 早く入れよ」


 右近が後ろから覗き込むと、和成は入り口の戸に貼られた紙を見て固まっている。
 紙にはこう書かれていた。


 ”天才美少年軍師 御用達の店”


 右近は和成の背中を叩きながら大声で笑った。