廊下で立ち話というわけにもいかないので経理の会議室に向かう。
 会議机に二人で向かい合わせに座ると塔矢が問いかけた。


「で? なんだ?」
「以前、城内で話題になってたふざけた三面記事があったじゃないですか」
「ああ、金髪の天才美少年軍師か」
「あれが今朝更新されてたんです。見て下さい」


 和成は懐から紙を取り出し、塔矢の前に広げた。
 写真は相変わらず合成だが、髪の色、長さ、目の色、表情が変わっている。

 風になびくほど長い、くせ毛の金髪碧眼から、肩に届くか届かないかの直毛で明るい栗色の髪、栗色の瞳へ。

 一番変わっているのはその表情だ。
 金髪美少年は眩しいほどの輝く笑顔だったのに対して、栗色の髪の少年はおすまし顔になっている。

 塔矢は差し出された紙を手に取ると、思わず感嘆の声を上げた。


「これはまた……。よく似てるな」
「問題なのは、その下の記事の方です」