和成は紗也を見据えて告げる。


「いいえ。聞かなかったことになさらないで下さい。しっかりとお聞きになった上でご決断を賜りたく存じます。私はそれに従う所存です」


 少しの間和成を見つめた後、紗也は黙ってゆっくりと頷いた。

 和成は軽く目を閉じて少し息を吸い込み、再び目を開くと紗也をまっすぐ見つめて言う。


「私はあなたをお慕い申しております」


 紗也が少し目を見開いて息を飲んだ。
 和成はかまわずに言葉を続ける。


「あなたが私の想いを不快にお思いになったり、私がお側にお仕えするのをよしとしないのなら、護衛の任を解いて下さい」