他人事のように問い返す慎平に、和成は眉をひそめた。


「それってまずくないか? 本陣の防衛線を突破されたら、あっという間に陥落するって事だろう?」

「でも、司令所には和成殿がいますから」


 慎平は相変わらず呑気に笑う。
 それを横目に、和成はため息をついた。


「俺ひとりでどうしろってんだよ」
「でも総大将が無事なら……あれ?」


 言いかけたところで、慎平は不思議そうに首を傾げながらチラリと天井を見上げる。
 そして和成に向き直って尋ねた。


「総大将って前回は紗也様でしたけど、いつもは誰なんですか?」

「元々いないんだよ。だからうちは強いんだ。誰かひとりをどうしても守らなきゃならないってのがないから」