和成は一瞬絶句した後、眉をひそめて尋ねる。


「おまえ、そういう趣味の人?」


 和成はまだ出会った事はないが、圧倒的に男の多い軍部にはそういう趣味の人がいると聞いた事がある。

 やたらとまとわりついてくる右近を、実はそういう人ではないかと昔は疑った事もある。
 もっとも彼が女好きである事は、すぐに判明したのだが。

 慎平は目を丸くして一瞬言葉を失ったが、すぐに手を振って思い切り否定した。


「ち、ちがいます! 私が書いたんじゃありません! 頼まれたんです!」
「わかってるよ。悪いけどこれ、返しといて」


 笑いながら封書を返す和成を、慎平は不思議そうに見つめる。


「え? 読まないんですか?」