和成が用紙を持った手を降ろすと、紗也は項垂れて答えた。


「なんだかわからなかったから」

「わからなかったら塔矢殿とか周りの人にお聞き下さい。今後この様なことが続けば国が傾きかねませんのであなたの認証番号に制限をかける事になりますよ」


 俯いたまま黙り込んだ紗也を見て、塔矢がもの言いたげに険しい表情で和成を見据える。

 少し立場を越えて厳しく言い過ぎた事に和成も気付いた。


「……私にそのような権限はございませんが」


 そして一息つくと、静かに提案してみる。


「剣をお教えすることは致しかねますが、電算機の操作でしたら喜んでお教えいたします。いかがですか?」