放課後になって
めげずにまた職員室に向かう自分の姿は
ひどく滑稽だと思う
諦めの悪い奴、とでも言うのだろうか
そして美波先生が職員室から出てくると
偶然を装って、片手を挙げた
「あ、椎名。
どう?女の子からいっぱいもらえた?」
「別に。
ってか全然」
「へーえ?
ま、お返しはちゃんとしなさいよー」
そう言って先生はひらひらと手を降って立ち去ろうとした
そのとき
見慣れない袋が、もう反対側の手にぶら下がっているのが目に入る
黒地に小さな赤い文字が書かれたどこかの高そうな紙袋
持ち手には赤いリボンが付けられていて
すぐにあの文字が頭に浮かぶ
「せんせ、それ、
本命?」
なんとかして冗談めかして言ってみたけれど
心の中では焦りでいっぱいで
「どうだか?」
先生は少し頬を赤らめて、
また笑う。
それはきっと西日のせいだと信じたかった
「ふーん、じゃ、また明日」
なんとも思っていないふりをして
口角をあげて見せる
「さよなら」
俺、笑えてんのかな
ふと、そんなことを思った

