なにも言えなくて




背中に隠し持っていたピンクのリボンでラッピングしたマドレーヌと
とびっきり可愛いカードを先輩に見せることなく



私はそこから逃げ出した。



その時は悲しくなんてなくて




ただ、





ハズカシイ




そう、思った。





先輩の幸せを邪魔してごめんなさい




勘違いしてごめんなさい




ちゃっかり今日が記念日になると思ってごめんなさい





これから先、ずっとバレンタインは私にとって最悪な思い出の日となるけど



それは先輩のせいじゃないです




でも、少し



恨んでしまいそうです




だから先に謝っておきます




本当にごめんなさい






何度も何度も、なぜか私は謝り続けて教室まで走り去った