透明なラッピングで包まれたマドレーヌを


勢いよく踏み潰した。



そして、もう一度。




生地に含まれた油分がビニールにこびりついて



ただの汚い残飯のよう。






ーーーーなにやってんの?





心の中で自分に問うてみても


その答えなんてわかるはずがなかった。




誰もいない教室で


ただ一人、無心で踏み潰し続ける




可哀想なマドレーヌ。




本当は、


先輩に味わってもらえるはずだったのに。