目を凝らして、上履きをみてみると



そこには



山下樹里(やましたじゅり)と



書かれていた。



その姿は、悲しくて




でも、冷めた感情が伝わってくる




見てはいけないものを見てしまったような気がして、慌ててその場から離れる。




なにやってんだよあいつ



大体あれってバレンタインのチョコかなんかだろ




いいのかよ、踏んで




頭の中では幾つもハテナが生まれたけれどまさか聞けるわけもなく




しばらくしてから山下が
勢いよく教室から走り去っていくまで


廊下の隅で待ち続けた




そのとき、



階段を駆け下りるときに見えた
山下の目が赤くなっていたのは



きっとそれも西日のせいだと

また俺は信じ込む。