人が人を好きになるのに、理由なんてないのと同じで…

あたしが彼に恋心を抱いたのは、本当に一瞬のことだった




「俺、椿の花…好きなんだよね」




学校の前にある椿の木

彼は真っ赤な椿を優しく触りながらそう言った




そのときの彼の

白い息

綺麗な指先

真っ直ぐな瞳

全てにあたしは恋をした