……ということがあって今に至る。
「ねぇ、前髪くんはなんで私の……その、……柄を知ってたの?」
小声で聞くと、前髪くんはクスリと笑った。
『僕が君の後ろを歩いていたからだよ。それも、いつも他の幽霊につまずいてこけるもんだから。ちょっと君に憑いてたんだ』
取り憑かれていたということ?
「え、ちょっと待って。他の幽霊って?他に幽霊さんっているの?」
前髪くんが見えるようになってから、他の幽霊さんには一度も会ったことがない。
というか、彼以外見たことがない。……と思う。
『居るよ』
ほら、あれとか。と付け足して彼は一番後ろの窓際にいる生徒を指差した。
急に寒気がした。
……?
『幽霊に取り憑かれた奴だよ』
「え、そうなの?」
じーっと見てみるが、良く分からない。
ずっと見ているたせいか、なんだか頭が痛くなってくる。
「……苦しい」
『見るのは一瞬だけにしなよ。ずっと見ていたらのまれてしまうよ』