それはとても暗い学校の中ででした。
「急がなきゃ……」
その日は運が悪いことに、教室に忘れ物をしていました。
教室に入り、目当ての物を見つけてすぐに帰ろうとしていた時。
「……えっ」
真っ白な体をした誰かが、私を見ていました。
目が隠れていて見えないくらい、前髪が長い男の子。
不思議に思ったのか、その子は目を丸くしたような声で聞いてきました。
『僕が見えているの?』
「……う、うん」
珍しい、と呟くと男の子の笑ったような口が見えました。
『君のパンツって幼稚なんだね。しかもいちご柄』
「!?」
な、なんで知って……!?
『いっつも何もない廊下で転んでるじゃん。あれで隠せてると思ったの。前を隠して尻隠さず。君の後ろを歩いてた人はびっくりしてガン見してたよ』
ピラッと私のスカートの中を見て、ニヤッと笑ったのです。
『ほら、いちごだ』
見られてしまった羞恥心で私は手を出しました。
「最低!」
『僕は幽霊だから当たらないよ』
するりと私の手が彼の体を突き抜けるのが見えました。
『ほらね』
そう言った彼の口元の笑みは消えていた。