『全員抹殺!』

イヨは、ユリア国ルナア島の者を全員抹殺せよ、と命令を出しました。

「姉上様、何も農民達まで殺さなくても……」
トヨ王が進言する。

「そなたは黙ってイヨ」

「ちょ、姉上様、だ、ダジャレ?」


イヨはトヨと二人きりで話すことが多くなっていました。二人の会話の中で、イヨが方針をトヨ王に伝え、それをトヨ王が公に命令するというやり方でした。



「そんなことより、ルナア島の情報は何か入ったのか?」
イヨが訊く。

「はっ。物見の報告によりますと、ルナア島の兵力は二万五千。指揮をするはアキとメシという者でございます」

「メシ……この前、フジノ王の供をしておった奴か……邪馬台国に復讐を誓っておろうの」

「はい。それによりメシ軍の士気は高まっておりましょう」

「よし。敵の士気を落とすために、まずは食糧庫を攻めよ。食糧がなくなっては、戦う気力も失せようぞ」
イヨの初めての采配であった。


しかし、その采配はアキのスパイが聴いていたのです。