「サツキよ! 貴様、せっかくフジノ王子が食料や金を貸してくださったのに、未だに山賊をしているとは何たることか!」
メシは怒った。

「はい。あっしも昨年までは真面目に働いていました。しかし、『ユ邪戦争』で田畑が全て焼かれてしまい、山賊をするしかなかったのでございます……」

「そうか……。戦争というものはいろいろなところに影響を及ぼすのだな。すまぬ……」

「そ、そんな。滅相もございません」


その後、メシは山賊のアジトで二日間治療し、再びユリア国に向かうことになりました。

サツキはメシを見送る際に、瓶(かめ)いっぱいの猛毒をメシに差し出しました。この猛毒を弓や矢の先に塗り、戦争で使うのです。かすり傷程度でも相手を死にやる猛毒なのです。邪馬台国との戦争で少しでもユリア国が有利になるようにとのサツキの気持ちでした。