「ふぅん。竜って力持ちのイメージがあったけど、案外非力なんだね」


「・・・・・」


こいつ・・・ここから蹴落としてやろうか。

確かにワイバーンは小柄な竜で、大型竜に比べれば力が弱いのは認める。

それでも長距離飛行には長けていて、大型竜に引けを取らないくらいの持久力はあるし。

少なくとも、地上で馬に乗ってるニコルにだけは言われたくねぇ。

じろりと、苛立ちを含んだ視線を向ければ


「そんなことよりもさぁ、あの男ってまだ生きてるの?」


竜の話になんて興味がなくなったのか、お嬢さんの足に括りつけられている男を覗き込むニコル。

これ以上なにか言ってきたら、有無を言わさず振り落としてやろうと思ったのに。


「・・・・生きてんじゃねぇの」


不愉快な気分のままで答えた俺の顔は、ものすごい顰めっ面だった。