周りに人の気配を感じないのを確認して、薄らと重たい瞼を持ち上げた。


---此処は何処?


視界に映ったそこは薄暗い。

何度か瞬きをして暗闇に目が慣れてくると、視界が開けて周囲の様子がなんとなくわかってきた。


---洞窟・・?


「───っ・・」


少し首を横に動かした時、胸に激痛が走った。


---何?


動かない体を視線で追えば、胸に突き刺さる宝剣が目に入る。


激痛の原因はこれか、と理解して今までの事を思い出していた。


あの時・・・

祈りの儀式で感じた違和感に気を取られて、後ろから近付く男に反応する事が出来なかった。