「お主は、唯の人間ではない。
大国の第一王子で時期国王であろう?
無論、花嫁候補も疾うの昔に決まっている筈だ。
そんな中にフローラを加えるのか?」


「俺が娶るのはフローラだけだ。
父上も理解してくれている」


俺の言葉に「フン」と鼻を鳴らすシエルは


「それは、フローラが普通の娘だと思っていたからであろう?
エルフの末裔だとわかれば話は別だ。
時期国王の花嫁が人間ではないとわかれば、国王も民衆も黙ってはいないぞ」


淡々と話をすると「そうであろう?」と、俺の後方に視線を巡らせる。

つられる様に振り返り、シエルの視線を辿って行けば・・・

ヴァイス、ルイス、ニコルの少し後ろに見えた人影に皆が目を見開いていた。




「・・・父上」