泡の人

「だから言っただろ?昨日、お前あのプールにいただろ?って」

さっきまでの敬語から一変。

それが両親に対する気遣いと分かっていても、何故だか少しショックだった。

プールにいたのはやはり彼だった。あの場所にいたの理由が知りたくなった。

「そうか、お前だったか。まさかこんな偶然があるなんてな」

納得をしているのか、うんうんと頷くばかりの彼。

だけどそうしなくなったと思えば、低い声が更にワントーン低くなったかのような声で、

「よくも俺の邪魔をしやがったな」

そういって睨まれた。僕は邪魔をした訳ではない。むしろあれは感謝されるべき行為。

僕は怒った。どうしてそれが邪魔だったのかを。そして何をしていたのかも。

しかし彼は答えてくれなかった…いや、正しくは答えになっていない答えを言い続けていた。

「仲間に会いに行っていた。一緒に満月を見たくなってな」

やっぱりこの人、そっち系の人?仲間って誰なの?やっぱり“泡”?