泡の人

だったらどうして別れがすぐ迫っているのに、僕と仲良くしようとしたのだろう。

親しくなればなるほどに別れと言うものは辛くなる。

それを聞けば彼はあっさりとこう答えてくれた。

「確かにあまり人と親しくすれば別れが辛くなる。

だけど、1人でも俺の事を覚えてもらいたくて。お前と仲良くなりたかった。それだけだ。

お前には感謝している。期限ギリギリで想いを告げられたからな」

そのまま、“じゃあな”とボクに背を向けて翔けて行くリュウ。

僕は追いかけたけれど、強い風が吹いて。そのせいで上手く目を開く事が出来なかった。

微かな視界でかろうじて見えたのは、リュウが透けていく姿。

まるでそれは幽霊が成仏していくのを見ているようだった。

折角仲良くなれそうだと思ったのに。最悪だ。僕は何もしていないと言うのに。

悔しくて涙が出てきそう。