泡の人

頭の中が真っ白になって、思考が停止しそうになる。

仲間とは泡の事。リュウはそれの生まれ変わりとして人間になった。

仲間の所へ帰ると言うのはそれはつまり、死ぬと言う事?

思わず僕は怒鳴った。どうして死ぬなんて言うのかを。すると彼は変な表情をした。

「お前、おかしいと思わなかった?」

首を傾げる。何もおかしい事なんて何1つなかったから。リュウは溜息を1つ吐いて語り出す。

「泡は一生主の元へと着いて行く。それは体の一部のように。

その体の一部のような存在にお前は“仲間”と言えるのか?

そうだな…例えよう。体の一部である内臓とかを1度でも“仲間”と思ったか?」

ああ、そう言う事か。無言で彼を見つめる。リュウもまた、無言のまま。

「長い長い夢だったんだ」

その言葉がこの沈黙を破った。