泡の人

「お前の事が好きだった」

たった一言そう言っただけで、リュウはその場を去って行った。

意外にもあっさりと言ってしまうものだから、拍子抜け。

言われた本人であるイクトを見れば、少し鳥肌を立てている。

「なあミチル。あいつは同性愛者なのか?寒気がする。男に好かれるなんて。

しかも初対面の人間になんてさ。こんな事って本当にあるんだな」

僕は去って行ったリュウが気になって、イクトに後でメールをする事を伝えて彼を追った。

500mくらい先にリュウはいた。さっきまで赤く染めていた頬も、元通りになっている。

良かったね、と声をかけるとリュウは少し暗い表情で返事をした。

ちゃんと想いを告げられたのにどうしてそんな顔をするのだろう?

「生まれ変わりに会えた。ちゃんと想いも言えた。それは嬉しい事なんだけどさ」

続けて彼は言う。

「仲間の所へ帰らないと」