リビングは広くて、ダイニングテーブルやソファーが置いてある。

セーラちゃん達がいる場所は、何処からでも見渡せるように配慮されていて、子犬は外に行けないけど、セーラちゃんは自由に出入り出来るようになっていた。

大きなケージの中には、セーラちゃんと、あの日見つけた二匹が、もつれる様に遊んでいる。


「……可愛い」


その一言しか出てこない。
子犬がこんなに可愛いものだったなんて。
今まで知らなかった。


「可愛いだろ?もっと早く見せてやればよかったな」


その言葉にフルフルと首を振って、「毎日、写真貰ってたから」そう答える。

今でも十分過ぎるほど緊張してるのに、先輩とろくに話もしないまま家に呼ばれても、きっとこれなかっただろう。

先輩がゲージの中から子犬を出してくれて、そっと手を差し出すと、まずはセーラちゃんがやってきてにおいを確認。

その後に子犬達が手に噛り付いてくる。
小さな尖った歯が手に食い込んで、甘噛みといえど結構痛い。