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君に出会ったのは、夏が始まる少し前のこと。

部活が終わるのが遅くなって、急いで帰っている時だった。

公園の前を通りかかった時、微かに何かの鳴き声が聞こえた気がして。

空耳かと思ったけれど、気になったから公園の中に足を進めた。


辺りを見回してみれば、ベンチの下に小さな段ボールが置いてある。


近寄って中を覗くと、そこには産まれたばかりの子犬が入れられていて。

“かわいがってください“そんな文字と、毛布が一枚。

二匹で縮こまるように入っている子犬を見捨てるわけにもいかず。

とりあえず、家につれて帰ろうと段ボールを抱えあげた時だった。