諦めてなんか、あげられない。
手離すことも無理だ。
どれだけその瞳に他の男が映っていても
、愛しいって思ってしまうし。
心優が俺を嫌いだと罵ったとしても、俺
は君を嫌いにはならない。いや、なれな
いんだよ。
心優を嫌いになれたなら、こんなに苦し
い思いをすることも無かったのに。
だけど───……いいんだ。
自分の苦しみと同時に、すごく大事なモ
ノを見つけたんだから。
かけがえのない存在が、あるから。
◆◆◆
「音夜おっはー」
「おはよう、音夜」
心優の彼氏の先輩が家にやって来た翌日
、学校に行くと、男が二人そう声をかけ
てきた。
「はよ」


