音夜君の瞳に映るのは、私で。 その瞳はこれっぽっちも揺らいだり、し ていなかった。 「お前を諦めないからな」 揺れる。ぐらぐらと。 その瞳が確かな色を宿せば宿すほど、私 はほだされそうになる。 ゆっくりと。 気づきたくもない感情が、私の足元を浸 していたんだ。 離れようとすれば、いつの間にか近づく 距離。 のがれることの出来ない呪縛のようなそ れに。 抗う方法を知りたいと願った、夏の日。