目の前でいとも容易く、意地悪に微笑ん
で彼女をかっさらっていくんだ。



俺はただ、それを歯ぎしりしながら見つ
める事しか出来なくて───。



「なあ、瞬……俺ってカッコいい?」


「は?いきなりナニ」



ふいにそう呟けば、瞬が怪訝そうに俺を
見上げた。



「……普通にイケメンでしょ。兄貴が本
気になればほとんどの女の子はおちるよ




そう。ほとんどの、女の子は。



それはつまり落とせない女の子だって存
在するって事で。



もしかしたら俺は、そんなごく一部の女
の子を好きなってしまったのかもしれな
い。



でも、いいか。



ちょっと優しくしたくらいで俺を好きに
なっちゃうよりかは、少しくらい、強情
な方が。