なんで私なんかを好きなの。私なんかを
好きになっても、意味ないのに。
私は、大倉に貰ったピンをコートのポケ
ットに入れてから、家へと足を踏み入れ
た。
「───……ただいまー」
そう言いながらリビングを開けて、思わ
ず固まってしまう。
だってそこには、パーティーかと思うく
らい、ご馳走が並んでいたから。
しかも、どれも私の好きなものばっかり
。
え、なにこれ。
「あ、帰ってきた」
すると、不意にそんな声がして、キッチ
ンから音夜君がひょっこりと顔を出した
。
「音夜君!?こ、これ……一体……」
「ん?…あー、バレンタインのお返しに
と思って、料理してたらこんなになった
。心優の好きなもの作っただけだけど」
「それにしたって、すごい量」
こんなに食べられないよ。


