「はぁ……」
なんでこんなにライバル多いんだよ。付
き合ってるのに次から次へと出てきやが
る。
……誰にも、渡すつもりはないけど。
───♪~……
その時、ズボンのポケットに突っ込んで
た携帯が、滅多にかかってこないメロデ
ィーを鳴らして。
不思議に思いながらディスプレイを覗く
と、そこには"父さん"の文字。
毎日、"元気か?""お金は足りてるか?"
"少しくらい顔見せに帰ってこい"とメー
ルをしてくる父さんだったけど。
電話は、珍しいな。
「はい、もしもし?」
『……陽介か』
聞こえてきた父さんの声は、ひどく無愛
想で。
……なんだ、なんでそんなに拗ねてるん
だよ。
意味がわからず、眉を潜めた。


