無理やり割って入って、自己紹介でもし
てやろうか、なんて思った瞬間、音夜君
が静かにそう彼女を引き剥がして。
彼女は一瞬驚いた表情を浮かべてから、
不満げに唇を尖らせた。
「引き剥がすことないじゃんっ!」
「……うん、ごめん。だけど俺さ、好き
な女の子が居るから」
誤解されちゃうの、嫌なんだ。と困った
ように笑った音夜君に、女の子の瞳に一
瞬冷たい光が走った。
眉を下げて笑う音夜君に、そういえば、
音夜君はこういう肉食系の女の子が昔か
ら苦手だったのを思い出した。
中学生の時にも、こういう女の子に騒が
れて、困ってたっけ。
チャラ男になっても、変わんないんだ、
そういうトコ。
なんでかそれが嬉しくて、少しばかり、
頬が緩みそうになる。
「そーだそーだ!音夜にはかっわいー心
優ちゃんが居るんだよ!」
不意に、そう言い出したのは渡辺君で。


