そう言われて、頷く暇さえ与えられずに
その場から連れ出される私。
どんどん小さくなっていく大河原先輩が
ニヤニヤと面白そうに笑っていたから、
なんだか嫌な予感しかしなかった。
連れていかれたのは、誰も使ってない、
弓道部の倉庫。
埃っぽい部屋の中で、先輩はピタリと足
を止めると、私を見下ろした。
ちょっと不機嫌そうなその瞳に、ごくり
、と喉を鳴らした。
「心優、何を相談してたの。あんな男に
……」
あんな男って、仮にも友達なのに。
だけど今はくちごたえ出来るような雰囲
気でもなかったので、大人しく白状する
。
「文化祭の事で、ちょっと」
「……それだけ、だよな?」
ジッとのぞきこむようにそう言われて、
首を傾げながら頷く。
それしか話してない。


