ふわりと香る、シトラスの匂いにドキッ
と胸が騒ぎ出す。
「心優を誘惑してんな、お前」
私は、先輩に抱き締められていた。
先輩はそう言うと、更に強く私を抱き締
めて。
もう、ドキドキが聞こえちゃうんじゃな
いかってくらい密着して、余計にドキド
キさせられた。
し、心臓に悪い……。
「別に誘惑なんてしてないけどねー?ち
ょっとお悩み相談を聞いてただけ」
「……あ?」
「ほんと、独占欲強いんだから」
苦笑いしながらそう言った大河原先輩に
頬がカアッと熱くなる。
独占欲、なんて……。
少しだけだけど、嬉しい、なんて思って
しまった。
「……とにかく心優と二人きりになるな
。行くぞ、心優」


