わたしってばそんなに酷い顔してるのか
な、なんて思いながら両手で頬を挟む。
まあ、余計に不細工になるだけだけど。
「文化祭で……」
「うんうん」
「シンデレラをやることに、なったんで
すけど……」
ニコニコと微笑みながら聞いてくれる大
河原先輩に、なんだか安心して。
するりと、言葉が抜け出していく。
「シンデレラ役に抜擢された挙げ句に、
相手やくの王子様が、いつも意地悪して
くる男の子で……」
始まる前から、憂鬱なんです、と項垂れ
れば大河原先輩はやっぱりニコニコして
いて。
いつでも人懐っこい笑顔を浮かべている
のはいいと思うし、それが人気者な秘訣
かも知れないけど。
無責任なその笑顔が今は憎い。


