「―――じゃあ、また明日な」



先輩がそう言いながら、ずっと握ってく
れていた私の手を離してくれる。



スルッと逃げていった体温が寂しくて、
名残惜しくなる。



そんな表情を見られないように、ちょっ
と俯いた。



「はい、また明日……ですね。先輩…」



「心優〔ミユ〕」



静かに私の名前を呼んだ先輩が、私の顎
をつかんで、くいっと上にあげた。



至近距離でぶつかった先輩との視線。



先輩の少し潤んだ、真っ直ぐな甘く煌め
く瞳に見つめられて、ちょっと頬が赤く
なる。



は、恥ずかしい……。



「せ、先輩……」



そっと先輩を見つめながら何かに縋るよ
うに呟けば、先輩がちょっと眉を寄せた