「あ、ごめん‥どうする?戻る?」
「うーん‥まぁいいや!お母さんにはお店やってなかったって言うよ。」
「じゃあ、送る。」
「いいよ!悪いよ。だいたい徒歩五分の距離だよ?大丈夫だから。」
「‥うん。じゃあここで。」
そう言って彼は私を離す。
「バイバイ。」
私が歩きだしたその時‥
「みずは。」
急に後ろから呼ばれて振りむく。
「ん?なにー‥んっ」
唐突に口を塞がれる。
すぐに詩月くんは私から離れてはにかむやうに笑う。
私は顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。
ずるい!
不意打ちなんて
ただでさえ慣れてないのに!
私は身を翻して家まで走った。