駅から離れた人通りの少ない小道で立ち止まる。
「詩月くん‥大丈夫?」
「ごめん。みずはまで巻き込んで。」
「ううん!大丈夫だよ!大丈夫!」
詩月くんを安心させようと笑顔をつくる。
「ごめん‥さっきの女が言ってたこと気にすんなよ‥?」
「いいの!ほんとのことだもん!地味だし可愛くもないし!」
「みずはは可愛いよ。」
目を見つめられてそんなこと言われたら、心臓がドキドキしてなんか壊れちゃいそうになる。
私は目をそらしてごまかす。
「いいって、ほんとに‥」
次の瞬間、私は詩月くんの腕の中にいた。
「詩月くん!?」
「みずはは可愛いよ。可愛いすぎて俺にはもったいないくらい。」
「‥‥。」
恥ずかしくて何も言えない。
「だから、さっきみたいなことやめてほ
しい。俺なんかのために知らないやつにつっかかって‥俺がいなかったらどうなってたかわかんないじゃん。別に俺は平気だから、いつまでもみずはに頼っていられないし‥」
「私ね!今日斎田くんに、詩月くんは変わったって、永田のおかげだって言われて‥それで、すごい嬉しかったの!だから、その‥」
「ありがとう。」
詩月くんが静かに呟く。
「‥うん!帰ろっか。あ!わたし買い物にきたのに、すっかり忘れてた!」