「詩月くん帰りたがってるじゃないですか!」
私は思わず飛び出して言ってしまった。
とたんに男女に囲まれる。
「あ、永田‥」
「ほら、もう帰ろう。」
私は詩月くんの手をとろうとした。
と、そのとき手首を知らない男の人に掴まれる。
その人はわたしに向かっていう。
「君さー、なんなの?」
「なにって‥」
「ってか俺だいぶタイプかも。可愛いじゃん。一緒に遊ぼうよー!」
隣にいたもう1人の男の人に顔を覗きこまれる。
「いや、あの‥」
と、その時。
誰かに腕を引っ張られ、そのまま抱きしめられだ。
詩月くんだ。
「俺の彼女だから。ナンパとかやめて。」
やばい‥
詩月くんの香りだ。
こんな状況なのにドキドキしてる。
さっき詩月くんを誘ってた女の子が急に口をひらく。
「これが彼女ってまじで?」
「そうだけど。」
平然と答える詩月くん。
「なんでっ!あたしのこと振ったのにこんな地味な子と!顔もそんな可愛くないし別にふつーの‥」
詩月くんが彼女の言葉をさえぎる。
「俺さー、お前のそういうとこが嫌いだったんだよね。今度みずはのことそういう風に言ったら許さないから。行こう、みずは。」
「ちょっと待てよ詩月。」
「ごめん、俺もうタバコとかそういうのいいや‥お前らがそういうことしてるんなら一緒にはいられない。」
そう言って詩月くんは私の手を引っ張って早足で歩きだす。
後ろにいた人たちももう諦めたみたいで何も言ってこない。
私たちはそのまま歩き続けた。