「よかったー、悠くんにまだ間に合うね」
「玲は高校入ってからは賀川君一筋だもんね」
「運命の人だよ、絶対」
悠くんこと賀川悠くんは、金髪のいわゆるヤンキー。
普段、物静かでケンカとか無縁そうだけど、入学式直後に早速金髪だからと先輩に呼び出されて、悠くんがボッコボコにして新しいこの南高校の一番は悠くんとなった。
お陰で高1、高2、高3で悠くんに逆らう人なんていない。
校門の前に着いて、結衣と別れ私はただひたすら悠くんがくるのを待った。
「悠クン!」
いかにもゲって顔してる。
「悠クンおはよー」
「…」
「はっるかくーん、聞こえてますかー?」
「聞こえてる、ったく玲は朝から元気だな」
「ありがとー」
悠クンが玲って呼ぶようになったのな、最近のこと。
いつの間にか北城から玲に変わっていた。
たったそれだけなのに、私は期待してしまう。

