その後、ジルとローグは言葉少なくカチュアの儀式が終わるのを待っていた。


太陽は一番高い位置をやや過ぎた辺りで、木々の隙間から木漏れ日が降り注ぐ。


風は殆どなく、時折微かに葉を揺らす程度だ。


穏やかな日中。


リィズ村の人々は今日も畑仕事に精を出し、子供たちは元気にはしゃぎまわっているに違いない。


爽やかな風が清々しい。



どれほど時間が経っただろうか。


ジルはふと嫌な気配を感じた。


眉をひそめ、注意を払って辺りを窺う。


先ほどと変わらない平穏な風景だが、何か嫌な感じがする。

そう、何か嫌な感じが…。


どう表していいか分からないピリピリとした空気をジルは感じ取った。


何か、いる……。


「ジル?」


ジルの様子が気になったのか、ローグが声を掛けた。


ローグを振り返ると、彼も何かの気配を感じ取ったようだった。


「気をつけて…何か……」


言い終わらないうちに、ジルの左側から茂みの揺れる大きな音がした。


瞬時にその方向を振り返る。


刹那、何か分からない物体が勢いよく襲いかかってきた。


シャャァァァーーー!!!