洞窟内が暗かったせいか、外の太陽が眩しい。

降り注ぐ光に思わず手を翳してしまう。


「とりあえず、一安心だな」


ローグは入口近くの岸壁に背中を預け、腰を下ろした。


入口を挟んで反対側の岸壁に凭れたジルは、


「リィズ村に戻ったら、その後はどうするの?」


水筒の水で喉の渇きを潤しながら言った。


「そうだな…。カチュアのお供は迎えに来れないだろ?
国まで送って行くしかねぇよ?」


考えていたことはジルと同じだった。


「乗りかかった船、だもんね…」と、手に持った水筒に視線を落とす。


「あぁ。リィズ村から、丘の向こうのグランドヒールに定期的に馬車が出てる。
そこからイスナの城下町への乗合馬車があるだろ?
すぐに行けるさ」


乗合馬車というのは、定期的に街や村を結ぶ乗り合い便のことだ。


チケット代を支払えば誰でも利用可能で、物資を運ぶ役目もある。


ジルたちも何度か利用したことがあった。



「彼女は大丈夫かな?」

昨夜、カチュアに聞いた話を思い起こす。


王様がご病気…。


国に帰っても、カチュアには大変な事態が待ち受けている。


「それは俺たちが関われることじゃないさ。カチュア自身の問題だ。
分かってるだろ?」


ローグの口調は優しかった。


そもそもローグの言う通りだ。


何度か頷くと、ジルはカチュアが洞窟から出てくるのを待った。